有用広葉樹モデル林「高山市有用広葉樹モデル整備林」の概要

有用広葉樹モデル林 「高山市有用広葉樹モデル整備林」の概要

有用広葉樹ガイド林マップ

有用広葉樹モデル林 樹木の紹介

有用広葉樹ガイド林では他にカツラ、ケヤキ、タニウツギ、タムシバ、約70種など多くの広葉樹が生育しています。

「高山市有用広葉樹モデル整備林」の概要

このモデル林は、現存する二次林を良質な広葉樹林に育成してゆく技術を実証することを目的に、1984年に設置されました。
設置に際しては、飛騨地域に広く分布するミズナラ、コナラ、クリ等を主体に、それぞれの樹種特性や生産される材の利用等を考慮して設計が行われました。

整備林の概要

設置場所高山市清見町大字夏厩字立渡 標高1090m〜1070m
所有者二本木生産森林組合 斜面位置尾根部から山脚部
設置年度昭和59年度(1984年) 土壌型BB〜BE
設置時の林齢48年生 傾斜5°〜40°
面積5.0ha 最深積雪量1.5m以上
施業前の本数密度1090〜1760本/ha 育成樹種ミズナラ・コナラ・クリ・ホオノキ等

整備の内容

この森林の整備は、立木本数を調整した5つの施業区と何も行わない対照区、そしてこの地域に生育する広葉樹を紹介することを目的とした「有用広葉樹ガイド林」の7つに区分して行われました。
施業区は、クリやホオノキ等の立木の一部を近い将来に抜き伐りし、残された木を長い伐期で育成してゆく区(No.1、No.3)、あまり長い伐期とせずに育成してゆく区(No.4)、コナラの割合が高い区域内で、仕立て本数を変えて設定した区(No.5-1、No.5-2)に区分し、1984年に立木本数を調整しました。

施業区分 標準仕立本数(本/ha) 施業方法
No.1 高伐期施業 1000→500 仕立て本数の調整
(標準仕立て本数以外の不用木、不良木の伐倒・除去)
(中伐期施業から択伐により高伐期施業に誘導)
No.2 対照区 無施業
No.3 高伐期施業 1500→500 仕立て本数の調整
(標準仕立て本数以外の不用木、不良木の伐倒・除去)
(中伐期施業から択伐により高伐期施業に誘導)
No.4 中伐期施業 800 仕立て本数の調整
(標準仕立て本数以外の不用木、不良木の伐倒・除去)
No.5-1 コナラ高伐期施業 300(500) 仕立て本数の調整
(標準仕立て本数以外の不用木、不良木の伐倒・除去)
No.5-2 コナラ高伐期施業 600(800) 仕立て本数の調整
(標準仕立て本数以外の不用木、不良木の伐倒・除去)
  有用広葉樹ガイド林 不用木・不良木の除去及び下層植生の刈り払い
樹木ガイドカードの取り付け

注:「高伐期」とは100年以上、「中伐期」とは50~70年程度の期間を想定しています

なお、1988年にNo.5-1区、No.5-2区では雪害によって本数が減少したことから、No.5-1は500本/haから300本/haに、No.5-2は800本/haから600本/haに仕立て本数を設定し直しています。

施業後の生長状況

  調査年 1984
(間伐前)
間伐率 1985
(間伐直後)
1990 1994 1999 2005 2014
林齢 48   48 54 58 63 69 78
No.1
高伐期施業
本数(本/ha) 1,480 31.1% 1,020 960 950 930 840 780
平均胸高直径(cm) 15.5 16.1 17.7 17.8 18.7 20.5 21.7
No.2
無施業
本数(本/ha) 1,260 1,260 1,260 1,090 990 810 720
平均胸高直径(cm) 14.6 14.6 15.2 16.5 18.3 21.2 23.2
No.3
高伐期施業
本数(本/ha) 1,740 15.5% 1,470 1,390 1,120 1,110 990 840
平均胸高直径(cm) 14.0 12.1 15.3 15.5 16.4 17.7 20.0
No.4
中伐期施業
本数(本/ha) 1,090 28.4% 780 760 730 720 700 660
平均胸高直径(cm) 14.9 14.2 15.2 17.2 18.1 19.6 21.1
No.5-1
高伐期施業
本数(本/ha) 1,760 73.3% 470 270 270 270 260 250
平均胸高直径(cm) 14.3 18.0 22.7 22.9 26.5 28.7 31.5
No.5-2
中伐期施業
本数(本/ha) 1,720 56.4% 750 590 540 550 550 540
平均胸高直径(cm) 14.3 15.4 16.7 19.7 22.5 22.8 25.1

注1:1985年の調査は成長期前に実施されたので、林齢は前年(間伐前)と同じとしています。
注2:本数が減少しているのは枯損や雪害などによるものです。

位置図

施業の効果

整備を行ってから、これまでに5回の調査が行われています。
その結果を基に、この30年間の立木本数と平均胸高直径の推移を図に示しました。

立木本数の推移

対照区は1990年までは本数に変化はありませんでしたが、その後は直線的に減少を続けています。
間伐後の本数が多かったNo.3は直後から、その次に本数が多かったNo.1も1999年以後は対照区と並行するように減少を続けています。
3割近く間伐したNo.4は、変動幅は小さいものの徐々に本数が減ってきています。
No.5-1とNo.5-2は雪害を受けた後はほとんど変化しませんでした。

平均胸高直径の推移

いずれの区でも成長していることが確認できます。
しかし、間伐率が高かったNo.5-1やNo.5-2では大きく伸びているのに対し、その他の区は対照区と大きな差が生じませんでした。
(No.3、No.4が間伐直後に直径を減じたのは間伐で太い木を伐ったことによる)。

調査の結果からわかったこと

  • 広葉樹林での間伐は若齢の林で効果が高いと言われていますが、比較的高齢の林でも間伐率が高い場合には効果がみられました。
  • 間伐率が高いほどその後の直径成長への効果も大きくなりました。ただし、スギ・ヒノキなどで多く行われている3割程度の間伐率では効果ははっきりしませんでした。
  • 間伐によって幹に光が多く当たるようになると、ナラ類やクリなどでは後生枝(幹から出る小枝)が多く発生しました。
  • 後生枝発生を予防するためにも、上層木の成長を直接妨げない中層や下層の木は伐らない方がよいようです。

今後の課題など

  • No.1とNo.3は対照区と本数の差がなくなってきています。この2つの区は、当初の設計において収穫できる木を抜き伐りして本数を調整することとされているので、その時期や手法などを検討する必要があります。
  • No.4も中伐期施業区であることから、今後の扱いを検討する時期に達しています。

このモデル林は30年という長期にわたって成長調査を行ってきた貴重な事例であり、その間に広葉樹の成長や森林の変化などに関して多くの成果が得られてきました。
今後も、このモデル林については定期的にその成長などの観察を続けていきます。

※このページは「清流の国ぎふ森林・環境税」を活用しています。